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日常エウレカ、ヘウレーカ

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。 兎角に人の世は住みにくい。

あらためて、原作版「寄生獣」を読んでみる

書評
寄生獣(完全版)(1) (KCデラックス アフタヌーン) 寄生獣(完全版)(1) (KCデラックス アフタヌーン)
岩明 均

講談社 2003-01-21
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いやぁ~、実写映画もやってますが、深夜のアニメ版「寄生獣」面白いですねぇー。

 

原作の漫画の方は、もう10年以上前に購入して読んで以来、本棚に入れっぱなしだったんですが、アニメがあまりに面白いので、「こんな話だったかな?」とあらためて原作の漫画版を読み直しました。

 

僕の所有しているのは、講談社 アフタヌーンKCの単行本全10巻 「寄生獣」(岩明 均 著)です。

 

ある夜、虫のような形をした謎の新生物(宇宙生物?)が地球に現れる。

彼らは、人間の頭に入り込み、「脳」に寄生し「脳」を支配することで、寄生した人間を支配する。

そして、頭の形や材質を変幻自在に変形させ、他の人間を切り刻み、人間を「喰う」。

その「喰われた」人間の犠牲者の死体の切り刻まれようから、まだ寄生生物の存在を知らない世間では、連続「ミンチ殺人」が発生している、と話題になる。

主人公の高校生「泉新一」のもとへもこの新生物が現れ、脳を支配しようと試みるが失敗。

右手に寄生し、新一の右手を支配することとなる。

この右手は、自ら考え、言葉を話し、変形するが、新一の身体から栄養や血液などの供給を受けることで生きていける為、新一と共存していくこととなり、「ミギー」と名付けられる。

新一は、このミギーとともに、脳を支配され人間を喰う寄生生物(作中、パラサイトと呼んでたかな?)と戦うこととなる…。

 

と、いった感じで始まるこの漫画。

面白くて、読み始めたら、いっきに全巻読んでしまいました。

まぁ、10年以上前に読んだ漫画なので、完全に内容忘れてて、初見の話のように楽しめました。

 

で、アニメ版との違いですが、現在まで放送されたアニメの話に関しては、話のエピソードなどは、おどろくほど原作に忠実でした。

当然、携帯電話も普及していない1990年代前半の漫画なので、時代背景的なものは現在の風俗にあわせて大幅に設定を変更していたり、エピソードの順序やキャラクターのデザインなども変更されています。

特に、女性キャラのデザインはアニメ版は秀逸にかわいく描かれていて現代的ですね。

 

ここから、「ネタバレ」があるので、まだ原作を読んでいない方は、ご注意を。

 

パラサイトも進化し、人間社会と「共存」しながら、人間を喰おうとする集団が出来、その集団からは選挙を経て市長まで誕生する。

ミンチ殺人の捜査から、パラサイトの存在を把握した警察・自衛隊は、パラサイト殲滅の為、その市長やとりまきのパラサイトがいる市役所庁舎を封鎖し、次々にパラサイトを殺していく。

市長を追い詰め撃ち殺す直前に市長は、

「環境保護や動物保護を訴える人間自身が地球を破壊しかけている。寄生生物が人間を喰うのは、生物のバランスを保つこととなり、生物全体の為になる」といったような内容を話し、『人間どもこそ地球を蝕む寄生虫』『いや・・・寄生獣か!』(『』部分は単行本9巻より引用)と言い放ち殺されていく。(実はこの市長はパラサイトではなく、上記の考えによりパラサイト側にたった「人間」だった。)

ここで、タイトルの『寄生獣』はもしかすると「人間」を意味しているかもしれない、と気づく。

 

で、その後、5体の寄生生物が一体となった最強のパラサイト「後藤」と新一の戦いでクライマックスを向かえ、なんやかんや、世の中からパラサイトのことは忘れかけられたかのように世間は平穏となり、お話は終了。

 

そういえば思い出したのですが、この漫画を最初に読んだ時、僕はまだ20代で中二病・サブカル趣味の真っ盛りで、原作版「デビルマン」とかも大好物なお年頃でした。

デビルマン」の永井先生は、あの作品のラストを「人類滅亡」で終わらせています。

寄生獣」をはじめに読んだ時は、「増えすぎてわがままに環境を破壊する人間にたいする警告」、といった物語のテーマよりも、パカっと顔が割れたり、人間が切り刻まれる描写といった「残酷性」みたいなものに興味が行き過ぎて、なんで作者は、ラストをもっと「デビルマン」のようなカオスにして最後は人類滅亡にしなかったんだろう?と少し残念に思ったと記憶しています。

しかし、おっさんになった今、読み返してみて、あぁ、やはりこのラストがいい、このラストだからこそ、「寄生獣」が名作たり得るのだなぁ、と感想が180度変わったのです。

人間、同じ本を読んでも、その時の状態によって、感じ方って変わるんですね。しみじみ。

 

ともあれ、是非一読したい作品であることは、間違いないです。

 

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